ブロック塀の工事って、資格要らないの?

先日起きた大阪での地震のニュースで、

ブロック塀が倒壊して、女の子がひとり亡くなってしまったというニュースがありましたね。

とても残念な事故で、心が痛みました。

ブロックが倒壊した現場を実際に見たわけではないので詳しくは分かりませんが、

地震の数時間後にツイッターに流れてきた画像を見た瞬間

あー、鉄筋全然ちゃんと繋がってないじゃん、、これじゃぁ倒れて当たり前だな。

と思いました。

ブロックの施工は無資格でできるという実情

ブロックというのは誰でも意外と簡単に積めてしまうので、

本職ではない業者さんが、ついでに請け負って施工することも、普通にあるのが実情です。

ただ、ブロックの施工にあまり詳しくない業者さんが積んだものの中には、正しく鉄筋が入っていないものもあり、

ひどい場合、基礎の部分をコンクリートではなく、バサモル(※)で積んでしまうようないい加減な人がいるのも、残念ですが事実です。

(昔にくらべれば、配筋の知識は浸透してるかもしれませんが、古いブロック塀には本当にいい加減な配筋がされている例がよくある)

※バサモル…砂とセメントを混ぜ、水をわずかに加えた状態のもの。バサついたモルタル。

IMG_0580
(全国建築コンクリートブロック工業会 「改訂版 よくわかるブロック建築工事」 P13より引用)

正しく配筋され、きちんとモルタルが充填されたブロック塀は、本来はすごく頑丈なもののはずなんです。

上に添付した画像は、ブロック工事の教科書みたいな本からの引用ですが、阪神・淡路大震災の時にどんなブロックが壊れたのか、というデータが載っています。

それによると、派手に壊れたブロックのほとんどが無筋だったという事が分かります。

想像がつくと思いますけど、1個が10~15キロくらいの重さがあるブロックを高く積み上げる訳なので、鉄筋が途中で途切れていたり、

鉄筋の継ぎ足しの方法や、モルタルの充填方法が間違っていたりすると、今回のような大きい地震が来た時には超危険な建造物となってしまいます。

しかも街中、そこら中に、普通にあります。

見栄えを良くする目的で透かしブロック(最近では滅多に使いませんが、透かしブロックのところは鉄筋が通せない)がたくさん使われているブロック塀も要注意です。

本当はブロックの資格が存在する

あまり知られていませんが、ブロックを積むための資格としては、

  • 1級ブロック建築技能士(国家資格 実務経験7年以上)
  • 2級ブロック建築技能士(実務経験2年以上)
  • 3級ブロック建築技能士(経験不問)

というのがあるんですが、、ゼネコンみたいな大手建設会社の現場でもその資格の提示を求められることはほとんどなく、、

(僕が知らないだけで、資格を求める場合もあるかも知れませんが)

一般的には誰が作業してもOK、という事になっています。

つまり、事実上わざわざ取る意味が無い資格、みたいになっちゃってます。

だけど、ブロック屋として正しい知識を身につけたい、という思いもあって、僕は去年、

1級ブロック建築技能士を受けることにしました。 調べてみると、東京、神奈川では試験をやっておらず、

仕方なく一番近い試験会場の千葉に申し込みをしました。東京、神奈川に住んでる人は、千葉に受けに来る可能性が高いわけです。

全然需要がない資格

去年、僕が1級ブロック建築技能士の試験を受けに行った時の話です。

年に一度しかやらない試験にもかかわらず、、その時の受験者数、僕を含めてわずか3人。(あとのふたりは2級でした)

つまり、去年、千葉の試験会場で1級を受けたのは僕一人。

いやいやいや、、マニアックすぎるだろ、、この資格。。たしかに、無くても工事できてしまうのだから、
わざわざ取る人は少ないのかも知れないけど、、、

唯一、公共工事など国の仕事の場合のみ、「1級ブロック建築技能士」の資格が求められるみたいですが

それ以外の現場では、資格が問われることはありません。誰が積んでもOKなわけです。

でもそれって、施工してる人が、鉄筋の入れ方についてちゃんと分かっているのかな? って、ちょっと不安じゃないですか?

しかも、どこに鉄筋が入っているかは、仕上がってしまえば見た目には分からない訳です。

僕らも時々、古いブロック塀の解体作業もやるんですが、、鉄筋がちゃんと入ってなかったり、

継ぎ足しの長さが短すぎたり、中には鉄筋が全く入ってない部分があったりと、

こんな積み方するなんて信じられない!!怖っ! みたいな事もけっこうあります。

古いブロック塀ほど、あり得ない配筋をしている例が多いです。

鉄筋が無い部分は、大きいハンマーで横から叩くと、簡単に1個1個が分離して壊れます。

もし、大地震でブロック塀が倒れたら、人に当たらなかったとしても、道路をふさいでしまって

救援活動に大きな支障が出たりするみたいです。 道路に倒れたブロック塀を人力で片づけるのはまず無理です。

高さのあるブロックの場合は業者を選んで!

なので、人の目線ほどの高さとかそれ以上の倒れたら危険なくらい高さがあるブロック工事は、

ちゃんと資格を持った人がいる業者さんか、配筋の正しい知識をもった、信頼できる業者さんを探してください。

本当に危ないから!

ちなみに今回のような事故に乗っかって宣伝するのは気が引けるんですが、

ブロック工事で創業した菊池工業は50年以上前から現在までずっとブロックの仕事を続けています。

その当時からの、本当に「超」がつくベテラン職人のたちやなぎプロ(もちろん1級ブロック建築技能士の資格あり)が今でも現役で

その人が指導しているので、正しい配筋の入れ方はもちろん、それ以外の作業の色んなノウハウが
職人全員に、自然に受け継がれています。

ちなみに僕は去年の1級の試験で学科は合格したんですが、実技を落としてしまったので、

(事前に教科書的な資料が一切手に入らなかったのもあり、、)

今年の夏に1級の実技試験のリベンジする予定です^^;

(1級実技、結構ムズいっす。)

ブロックを積む職人全員に資格を要求するのは現実的じゃないかもしれないけど、たとえば

「5段以上は有資格者じゃないとダメ」みたいな基準をつくればいいのに…ボソッ

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。 

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回答をお待ちしています(^^)/

コメント

  1. t-cool より:

    すごく参考になりました。
    あまり意味はなさそうですが、3級を受験することにしました。
    貴重な情報、ありがとうございます。

  2. t-cool より:

    すごく参考になりました。
    あまり意味はなさそうですが、3級を受験することにしました。
    貴重な情報、ありがとうございます。

  3. ほろ より:

    t-cool様
    コメントありがとうございます✨😆🙏
    3級受験されるんですね!仕事を受ける上ではあまり意味ないかもですが、自分の知識と技能のためにはめちゃくちゃ意味があります!
    「受ける」という決断と行動の価値は高いです🔥🔥頑張ってください😁💪🏽

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